2008年03月13日

国会議員横ヤリの「靖国」試写会に80人 偏向指摘も 2008年03月12日23時16分

アサヒドットコムの記事より。

これはなかなか興味深い。


靖国神社を題材にした中国人監督のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の国会議員向け試写会が12日夜、都内で開かれ、約80人の議員らが出席した。試写を求めていた自民党の稲田朋美衆院議員は「偏ったメッセージがある」と話し、映画に政府出資法人から助成金が出されたことの是非を、さらに検証し続ける姿勢を示した。


国会議員向け試写会、だって。

監督側とアルゴ社は「検閲のような試写には応じられない」として、逆に全議員を対象に、今回の異例の試写会を開くかたちになった。 とあるが、その、検閲のような試写というのは、

映画は4月12日から都内と大阪の計5館で公開予定で、昨年12月からマスコミ向け試写が始まっていた。映画の中で南京事件の写真が使われていることなどから、週刊誌などが「客観性を欠く」「反日映画」などと報道。政府出資の基金から助成金が出ていたことも問題視した。これを受け稲田議員は「助成が適切だったかどうか、議員として検証したい」とし、同議員が会長を務める自民若手議員の勉強会「伝統と創造の会」と、同じく同党議員でつくる「平和靖国議連」との合同の試写会を、文化庁を通じて要請していた。

という事態をふまえて、すなわち、上記にあるとおり、議員の要請で「伝統と創造の会」「平和靖国議連」向けの試写会・・・つまり、「われわれに見せてみろ」といってきた、のに対して、いや、それでは国会議員の方々全員対象に見せますよ、ということでおこなわれた、ってことのようです。

すこし前に、その事情をより詳しく報じた記事がありましたので、
全文コピーしておきます。
(注★ネット上の消えてしまう記事をキープする方法があるらしいですがそれがよくわからないため、普通にコピー&ペーストです。
以下、茶色の字が、その前の記事、靖国映画「事前試写を」 自民議員が要求、全議員対象にです。)

【靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画の国会議員向け試写会が、12日に開かれる。この映画は4月公開予定だが、内容を「反日的」と聞いた一部の自民党議員が、文化庁を通じて試写を求めた。配給会社側は「特定議員のみを対象にした不自然な試写には応じられない」として、全国会議員を対象とした異例の試写会を開くことを決めた。映画に政府出資の基金から助成金が出ていることが週刊誌報道などで問題視されており、試写を求めた議員は「一種の国政調査権で、上映を制限するつもりはない」と話している。

 映画は、89年から日本に在住する中国人監督、李纓(リ・イン)さんの「靖国 YASUKUNI」。4月12日から都内4館と大阪1館でのロードショー公開が決まっている。

 李監督の事務所と配給・宣伝会社の「アルゴ・ピクチャーズ」(東京)によると、先月12日、文化庁から「ある議員が内容を問題視している。事前に見られないか」と問い合わせがあった。マスコミ向け試写会の日程を伝えたが、議員側の都合がつかないとして、同庁からは「試写会場を手配するのでDVDかフィルムを貸して欲しい。貸し出し代も払う」と持ちかけられたという。

 同社が議員名を問うと、同庁は22日、自民党の稲田朋美衆院議員と、同議員が会長を務める同党若手議員の勉強会「伝統と創造の会」(41人)の要請、と説明したという。同庁の清水明・芸術文化課長は「公開前の作品を無理やり見せろとは言えないので、要請を仲介、お手伝いした」といい、一方で「こうした要請を受けたことは過去にない」とも話す。

 朝日新聞の取材に稲田議員は、「客観性が問題となっている。議員として見るのは、一つの国政調査権」と話す。同じく同党議員でつくる「平和靖国議連」と合同で試写会を開き、試写後に同庁職員と意見交換する予定だったという。

 「靖国」は、李監督が97年から撮影を開始。一般の戦没遺族のほか、軍服を着て自らの歴史観を絶叫する若者や星条旗を掲げて小泉元首相の参拝を支持する米国人など、終戦記念日の境内の様々な光景をナレーションなしで映し続ける。先月のベルリン国際映画祭などにも正式招待された。アルゴの宣伝担当者は「イデオロギーや政治色はない」と話すが、南京事件の写真で一部で論争になっているものも登場することなどから、マスコミ向けの試写を見た神社新報や週刊誌が昨年12月以降、「客観性を欠く」「反日映画」と報道。文化庁が指導する独立行政法人が管理する芸術文化振興基金から06年度に助成金750万円が出ていたことも問題視した。同基金は政府出資と民間寄付を原資とし、運用益で文化支援している。

 稲田議員は「表現の自由や上映を制限する意図はまったくない。でも、助成金の支払われ方がおかしいと取り上げられている問題を議員として検証することはできる」。

 アルゴ側は「事実上の検閲だ」と反発していたが、「問題ある作品という風評が独り歩きするよりは、より多くの立場の人に見てもらった方がよい」と判断し、文化庁と相談のうえで全議員に案内を送った。会場は、同庁が稲田議員らのために既におさえていた都内のホールを使う。

 李監督は「『反日』と決めつけるのは狭い反応。賛否を超えた表現をしたつもりで、作品をもとに議論すべきだ」と話す
。 】




わたしもこの映画、みたいと思ってチラシをひろってました。
(そうやってチラシをひろっても、実際はその半分くらいしか見られないのですが)
おもしろそうだと思ったポイントは、

・8月15日の靖国神社の様子が映されているらしい。
→この日はいつも「騒然としている」そうなのだけど、平日だったりするとなかなか見物にもいけないので。
・靖国神社のご神体は刀であり、「靖国刀」を鋳造する刀匠が登場する(しらなかった、靖国刀なんて)
・監督は19年日本に在住の中国人→日本に住んでいる日本人、中国に住んでいる中国人、とは違った視点があるだろう
・日中韓の協力でつくられた
・監督の過去の作品もなかなか興味深い
 (東京四谷で、中国伝統の味を守り続ける料理店を営む日本人夫婦を描いた『味』、国民党の将軍として孫文の参謀を務めた後に日本に亡命した老人の晩年を描いた『2H』だって。チラシに書いてあるとおり、「独自の視点」があるなと感じる)

といったところ。


アルゴというのはどういう会社なのか、検索してみたら、けっこう話題作を制作している会社でした。
私のすきな遠藤憲一がタンゴだかなんだかを北海道で踊るフシギな映画も制作してた。
メジャーなところでは、竹中直人の「ヌードの夜」とか。

アルゴ・ピクチャーズ公式サイト

わざわざリンクしないけど、ウィキペディアにも「アルゴ・ピクチャーズ」はのっています。
アルゴピクチャーズの反応というか、対処(試写会を全議員向けにおこなう)は、正しかったと思います。

それから、文化庁清水明課長の発言を、再度、引いておこう。

同庁の清水明・芸術文化課長は「公開前の作品を無理やり見せろとは言えないので、要請を仲介、お手伝いした」といい、一方で「こうした要請を受けたことは過去にない」とも話す。】

この人の気持ちとすると、「事前検閲」はまずい。まずい理由は、たぶん、「さわぎになるから」であって、「表現の自由を侵すから」ではないのでは、と邪推。「ムリヤリ見せろとはいえないので」みたいな言い方だから。
でもまあ、議員のいうことだからね、一応、むこう(映画会社)にふってみよう。
・・・じゃないかと、これは私の邪推ですが、想像します。
こういう仕事のやり方は、必ずしも正しくない、とやっぱり思います。
処世術というのは、どんな仕事でもあるものですが、今回、映画会社がふつうに反応したからいいけど、役人は、法の精神=憲法の精神も尊重する必要があるのでは。


さて、映画自体について、議員たちの感想は、意外に様々だったようだ。

 ただ、試写を見た自民党の島村宜伸衆院議員は「一貫したストーリーを見せるというよりは、様々な場面をつなげた映画。自虐的な歴史観に観客を無理やり引っ張り込むものではなかった」とした。また、民主党の横光克彦衆院議員は「戦争の悲惨さを考えさせる映画だが、むしろ靖国賛美6割、批判4割という印象を受けた」と話した。


稲田議員の方は、


2時間の試写終了後、報道陣に囲まれた稲田議員は「助成金にふさわしい政治的に中立な作品かどうかという一点で見た」としたうえで、「靖国神社が、侵略戦争に国民を駆り立てる装置だったというイデオロギー的メッセージを感じた」と語った。


とぃう感想。
「政治的に中立」ってどういうこと?
あと、常々フシギにおもっているのは、このように、「イデオロギー」を悪い意味で使う人がいること。
(すくなくとも、稲田議員という人は、「侵略戦争に国民を駆り立てる装置だった」ということを伝えるのは悪いメッセージと感じているわけです)
どういうイデオロギーなのか、は問題だけど、イデオロギー自体があることは悪いことじゃないのに。
・・・とカマトトぶりましたが、「イデオロギー」ということばは、「キョウサントウ」という意味、そして「キョウサントウ」というのは「ハンタイセイ」「イケナイモノ」という意味、というか、「意味の感触」で日本で多く遣われている、というのは知っています。
「イデオロギーや政治色はない」と映画会社もいっていますが、別に、イデオロギーや政治色がある映画があってもいいと思うんですけどねえ。

↑今、「意味」ってほどじゃないなと思い、適当に「意味の感触」といいましたが、この言葉には自分的にやや満足。
というのは、日本というのは「クウキヨメ」という流行のフレーズが象徴するように、「暗黙の相互理解(のつもり)」のものが大変強い力を発揮する場所ですので。

話があちこちいきました。

私がもっているチラシには、一水堂顧問、昨今「右翼」といえばこの人、な鈴木邦男のことばものっている。

【靖国神社を通し、<日本>を考える。「戦争と平和」を考える。何も知らなかった自分が恥ずかしい。厳しいが、愛がある。これは「愛日映画だ!】

まあこれだけじゃなんだかよくわからないが、映画の惹句ですから。
しかしこの人は、少なくとも、ふつうの「右翼」あるいは「左翼」をめぐるあれこれで使い古されたことばを疑問視する態度は常にある人だと思うので、今回は、「愛」ってことにしたんでしょう。
まあでも、あくまで、映画の惹句ですから。


さて、今後の予定としては、

稲田議員は製作会社が出していた助成の申請書類一式も文化庁を通じて取り寄せており、「助成金の要綱なども確認し、適切だったかどうかまた検討したい」としている

ということだが、もしも不適切だったということになっても、お金をとりかえすことはしないでしょうね、きっと。
それに、今回は、「靖国賛美6割では」とまでいう声もでたし、これで立ち消えになるのでは。
続報はあるかな、あったらまたチェックします。



posted by フタバ at 00:28 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 過去の戦争をめぐって
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