2007年07月22日

 『オランダ・ハーグより』  第170回    「選挙のスリル」

村上龍主催(でいいのかな)のJMM、ウエブマガジンより。

2007年7月20日発行
No.436 Friday Edition
春 具 :ハーグ在住・化学兵器禁止機関(OPCW)勤務

ウエブマガジン、このJMMとあと2つほどとっていますが全然読みきれません。JMMは、比較的ささっと読めるので、消化できている方ですが。

JMMサイト内の海外レポート/エッセイのところで、少し遅れてですがバックナンバーを読むことができます。

さて本題。

日本でも参議院選挙をひかえているので、先日のフランスの大統領選挙のことを話題にしています。

サルコジ勝利の分析などのあとに書いてあることがおもしろかった。

【そのような極右の支持により、53%対47%という開票結果になったのだというのであります(これをサルコジ陣営は大勝だと報道したが、たった6%の差でしょう。その自画自賛は、ちょっと大本営発表に似ている。)

 だが、そのようにかろうじて大統領に就任したサルコジ氏は、支持を得た保守派、とくに極右票を逆なでするように離れ業をみせております。標的は社会党の切り崩しだというのですが、まず、外務大臣に社会党系のベルナール・クルシュネル氏を据えた。

 ベルナール・クルシュネル氏は「国境なき医師団」というNGOを創設したことで知られるように、人道問題に強い関心と行動力をあわせもつ外交界・国際行政の逸材であります。社会党政権で保健厚生大臣を勤めたが、コソボ危機のときには国連事務総長代表をしたのではなかったかな。きわめてリベラルな人材であります。】

【つぎに、サルコジ大統領は、これも社会党政権で財務大臣をしたことのあるドミニク・ストラスカーン氏をIMFの専務理事に推している。】


【さらに先週には、ミッテラン政権で文化相を務めたこれまた社会党の大物ジャック・ラング氏が「逃亡」しました。保守政権が主導する「公務員制度改革委員会」の責任者のポストを打診され、ラング氏は二つ返事で引き受けたとのことであります。

 つぎつぎに大物ソーシャリストたちがコンサバ・サルコジ政権の軍門に下るのを眺めながら、「罠を仕掛けるサルコジ氏が悪いのではない、罠に引っかかる彼らに節操がないのだ」とセゴレーヌ・ロワイヤル氏が言っておりましたが、いかんせん、負け犬の遠吠えに聞こえますな。サルコジ陣営に下った3人は「わたしたちは党のためでなく国家に奉仕するのだ」と言って、けろりとしております。社会党はこうしてズタズタに切り刻まれてしまった。】

要は、新内閣の組閣にあたり、「極右」サルコジ氏は、「リベラル」対抗政党の要人を重役に起用し、対抗政党社会党を骨抜きにしてしまった、というらしい。

これがなぜ、社会党にとって困ったことかというと、

【もっとも、このように相手の核心を先回りして取り込み、政敵を切り崩すという手法は、サルコジ氏がはじめてではありません。・・・(中略)・・・

 ミッテラン大統領は、1981年に政権を握って以来、社会党の公約だった主要産業の国有化政策を進めていたが、その国有化は結局3200億フラン(当時なら65億ドルほどか)もかかってしまい、フランスの財政は瀕死の状態になってしまった。
当然、つぎの選挙では大敗を喫し、ミッテラン政権は連立を強いられて、保守党のジャック・シラク氏を首相を指名せざるを得なくなったことがあった。

 首相に就任したシラク氏は、当然、鬼の首を取ったような気分になりますね。ミッテラン氏の神経を逆撫でするかのように、彼は社会党政権がつぎつぎと国有化した産業を、つぎつぎと民営化し直していったのであります。ミッテラン大統領はそれを眺めながらも何もせず、シラク氏のなすがままにさせておいた。社会党はミッテラン氏をいぶかり、何もしない大統領に裏切られたように気分になった。

 だが、その2年後にシラク氏が大統領選に打って出たとき、「シラク保守党」には「ミッテラン社会党」に対抗するイシュウがひとつも残っていなかったのであります。首相時代にシラク氏は「国有化 v 民営化」の問題を含め、争点となるべき諸問題をすべて実行してしまい、論争の駒を全部使い切ってしまっていたのであります。かくして論点を失ったシラク氏は野に下り、以後7年、捲土重来にあらたな機会を待たなければならなかったのであります。】

という例があげられています。
ややこしいですが、この例では、社会党(ミッテラン)が、保守党(シラク)を陥れるためにやった、という意味ですね。
しかし、この例でも、もし、陥れられた、とされる保守党支持の立場からみても、保守党がやるべきだとおもっている政策は実行されたのだから好ましい、ともいえるのではないか?
あるいは、大局からみて、その後社会党の政策もミッテランがすすめたのであれば、国内の2大勢力(なのか知らないが)のそれぞれの政策がおこなわれることになるので、バランスとれてるのではないか?
・・・ただ、あとから悠々となにかをはじめられるミッテランは、シラクのやったことを切り崩すこともできるわけですが。

でもそこは、ややこしいですが、今回のサルコジvs社会党でいえば、社会党は、とにかくあとで切り崩されないような措置を施した上で持論の政策をどんどんすすめてしまえば、それこそ、【党のためでなく、国家のために奉仕】することになるのでは?

この記事の筆者、春具氏も書いているとおり、こういう政争手法は、日本ではみられませんね。そうでもないかな。
土井たか子を議長にしてまつりあげてしまって封じた、というのはやったことありますけどね。

それにしても今回の選挙でいちばん驚いているのは、若尾文子さんが立候補したことです。
増村保造監督がきいたらなんて言うか・・。

posted by フタバ at 11:13 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治勢力争い
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