2006年08月09日

「美しい国へ」安倍晋三著 −その2−

小学生のときはじめて税金というものを知り、みんなでお金を出し合ってみんなのために使ってるんだ、なるほどなあ、と思ったものだ。
同時に、トーベヤンソンがムーミンのマンガ版で、ムーミン一家が税金の取り立てから逃げようとする話をかいていて、うーんこれはどういうこと?と不思議だった。つまりムーミンたちは悪い人たちではないはずなのに…?という不思議。今でもそうだが子どもの頃はさらに単純だったもので。

先日のエントリーの続き。
下記青字部分についての追記です。

【国民がパスポートをもつことによって国家の保護を受けられるということは、裏を返せば、個々人にも、応分の義務が生じるということでもある。
 たとえば、タックス・ペイヤーとしての義務を果たす。一票の権利を行使する。自分の住む町を含めた公共に奉仕する−個々人がそうした役割を担わなければ、国家というものは成り立っていかない。
 公害訴訟など、過去の国の失政を追及する国家賠償請求訴訟において、原告が勝利すると、マスコミは「国に勝った」と喝采することが多い。しかし、その賠償費用は国民の税金から支払われるのであって、国家という別の財布から出てくるわけではない。だからこそ、その責任者は被害者への責任だけでなく、納税者である国民にたいする責任がきびしく問われるのである。国家と国民は対立関係にあるのではなく、相関関係にある、というべきだろう。】

日本人はお金のこといわれると弱いですからね。
でもここ、ちょっと意図がわからないな。
賠償すべき被害をうけた人へは当然賠償すべきだと思うし、それが失政ゆえなら、その他国民一般は、その失政を責めるべき。失政の担当者たる国家が、被害者・納税者両方に対して責任を問われるのはあたりまえ。
マスコミがなんていえば納得するのかしらん。
それを具体的に知りたいですね。【相関関係】って、ちょっとヘンじゃない?


意図がわからないと書いたが意図はわざとぼやかしてるんじゃないかなあ。

国の敗訴が妥当だという前提でいうならば、公害がおきたことに国の責任があるということであり、賠償というかたちで被害者に対して埋め合わせするのは当然のこと。
その公害で被害がなかったほかの国民はそのときたまたま被害をうけなかっただけであり、自分自身がまた別の公害なりに当たってしまった場合には自分だって税金を使ってどうにかしてほしいにきまっている。
つまりお互い様ってこと。

いちばんのぞましい「最善」のことは公害がおきないことだが、もし起きてしまってかつ裁判ではっきり国の責任があるということになれば、税金使ってでも状況改善するのが「次善」である。(それに、裁判だって、不公正などがおきたらそれを少しでも状況改善するために存在しているのだから。税金により。形だけかもしれないけど国民が信任した裁判官が判断しているのですよ)
そこで政府は税金払ったほかの国民に責任がある、というならばそれは二度と同様なミスによる公害をおこさないようにする、しかないではないですか。
なんのために税金を払った国民のことをもちだすのか。国民は自分達のために国(政府)に税金という形で金を預けているにすぎない。
国(政府)は国民のために働くのが使命であって、逆ではない。


【国民がパスポートをもつことによって国家の保護を受けられるということは、裏を返せば、個々人にも、応分の義務が生じるということでもある。
 たとえば、タックス・ペイヤーとしての義務を果たす。一票の権利を行使する。自分の住む町を含めた公共に奉仕する−個々人がそうした役割を担わなければ、国家というものは成り立っていかない。】

↑ふたたび引用しましたが、これじゃあ国家って、江戸幕府みたい。
年貢をおさめりゃ統治してやるぜ、ってな。
一票の権利の行使の義務っていうのも、江戸屋敷の奥様に会いにこさせてやってんだぜ、っていってる参勤交代みたいですねえ。
税金はらってるし、世襲政治家の誰かさんたちみたいに保険料をうっかり払い忘れたこともないし、そんなワタシは「保護」されて当然と思います。

安倍さんのお気持ちとしては、「国民は政府(含むボク様)の言うこときいてりゃよろしい」が正直なとこなんだろう。だから【だからこそ】以下の文ばなんとなく意味がつかみにくいふしぎな文になってるのだと思う。
【納税者に対する責任がきびしく問われるのである】とは言うけど、「だから、公害訴訟のお金なんて払えないよ」とまでは言わず【相関関係】というよくわからない用語でしめくくる。匂わせておいてスマートに言ってるつもりなんだろうなあ。

この本についてフタバが一番がっかりしたのは、こういうところなのだ。
つまり、マスコミ相手に「しゃべって」いる場合って、その場のいきおいで適当なあいまいな言葉でスルっと受け入れられちゃったりするでしょ?
でも書き言葉は何度も読み返すことができるし用語がヘンならその指摘もできる。
だけど、この本て、「しゃべったことを書き取った」のでほとんど構成されてるんじゃないかなあ。
「しゃべったことの書き取り」自体がいい悪いというのではないけど、まがりなりにも「政策を語る政治家」を名乗るなら、もうちょっとちゃんとした文章があるかと思ったけどそうでもなく。

とにかく、意外性がなかった。
あったとしたら、思った以上に「自戒」ということを知らない人だったということがわかった、ということだけです。
posted by フタバ at 11:00 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース本ニッキ(本の感想)
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