2009年08月03日

「姜尚中はどこへ向かっているのか−在日朝鮮人の集団転向現象」を読みつつ。

昨年から読んでいるブログ「私にも話させて」で、ただいま連載中の記事についてメモ。

この姜尚中の「転向」だが、3回目までを読んだところで、こちらの記事にとりあげられている赤瀬川原平を思い出した。

一周回ってワンと鳴く

姜氏は日本生まれで日本育ち。肌で感じてしみこんでいるのは日本社会の感触なのではないかと想像する。
日本社会とは、ステキげな言い方をあえてするなら「和を重んじる」わけで、すなわち、突出しないことが美徳。
その日本社会で受け入れられて生きることの心地よさよ!
赤瀬川原平は、「質感」にこだわっている人だと思う。だから、若いときには、社会における細かい違和の質感に敏感になり、年とってからは、それこそ年とって疲れたから、社会における、自分の違和による疲れにも敏感になったのだ。だから、うまくなじむと気持ちいい。そう感じるようになったのではないか。

日本社会の同調圧力は、違和を抱えた者にはものすごい圧力だが、同調の仕方をおぼえて社会側にまわれば、これほど居心地の良い社会はない。

とくに年をとってから、違和を抱えたままであると、まわりの、違和をなくしたほかのオトナから、敏感に察知される。いい年しても違和を抱える人は、日本社会においては「オトナ」と扱われないのだ。

日本社会にいても、女であれば、何歳になっても、社会が自分を違和として扱う経験をしがちである。
でも男は違うもんね。
「立派な大人」になれば、どんな「やんちゃ」をしても赦されたりする。
ましてや、赤瀬川さんとか、姜さんとか、「九州男児」ではないか。

その、「立派な大人」を擁する日本社会は、日本国家とのつながりが強靭である。戦後、そのつながりの強靭さはどんどん増してきているのではないか。
という状況を、非常に鋭くとらえた姜氏の文を、「私にも話させて」ブログから、孫引用。

天皇制は、私の言葉を使えば、「舶来品の国産化」でした。いわば、舶来の国産品をいかにして国体の護持という形で作り出すかが象徴天皇制のひとつの眼目だったわけですが、これはアメリカの覇権のもとに日本がいる限りにおいて初めて存続を許されるものでした。/この象徴天皇制の担保として、第九条がウルトラCとして差し出されました。しかし日本の戦後平和主義は第一条には手を着けず、第九条にのみすべてのアイデンティティを置いてきました。しかし、この第九条の成立過程を見ていくならば、第一条が眼目であることはあきらかです。第一条を認めさせるためには第九条という日本の軍事的な去勢化が必要だったのです。これをしないかぎり、恐らく極東委員会や連合国はマッカーサーが構想したような国体護持を決して許さなかったでしょう。戦後の民主主義は第一条についての論議をほとんどネグレクトしてきました。そのつけが今出てきているわけです。/象徴天皇制は非常によくできたシステムで、国の側からすると、法制化しないことによって、社会の内部と私たちの意識に浸透できるこれほど望ましい象徴政治はありません。
姜尚中はどこへ向かっているのか−在日朝鮮人の集団転向現象 2」より


違和を抱えた人への「日本人」(日本社会への同調技術をマスターした)および「日本社会」(同調基調で貫かれ国家方針とも無意識のうちに合致した)からの圧力は、圧力をかけられる方にはものすごく感じられるかどかける方は、自分が力をかけていることすら気づかないような性質のものだと思う。

でも、赤瀬川原平のもっていた違和は、年をとればなかったことにできるものだけど、姜氏の違和のモトは、なかったことにできないもののはずではないだろうか。
それともできるのだろうか。

姜氏にとって、違和のモトとの折り合い、戦い、つきあい方、なんといっていいかわからないが、その対応の仕方というのか、それに関する悩みは、私にとっては、想像もつかないような内容なのかもしれない。
でも、違和をもつ人が、社会の中にいるというのは、自分なりの違和をもつ私にも、ヘンな言い方だが、「安心できる」ことなのだ。
ただ、姜氏の違和の「モト」は、個人の感性とか素質とかとは関係のないところでおきたことが起因しているわけで、そこは忘れるべきではないな。

とりあえず、今はここまでメモ。
posted by フタバ at 07:22 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になった記事メモ

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